大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ネ)1493号 判決

控訴人が昭和二十四年六月十日被控訴人済藤幸良にいすず中古貨物自動車一台を代金三十万円で売渡し、その際代金の支払に関し、内金五万円を即時支払い、残金につき、(一)内金十万円を同年九月乃至十二月の四回に各金二万五千円宛に分割して支払い、(二)内金八万円を二口に分け、(イ)その一口の金四万円について訴外済藤カネが債務を引受けた上、これを同人を主債務者とする準消費貸借に改め、その債務を被控訴人星田金之助、同蓮実四郎が連帯保証し、(ロ)もう一口の金四万円については被控訴人済藤幸良を主債務者とし、利息の定めなき、弁済期を同年十二月三十一日とする準消費貸借に改め、被控訴人星田金之助、同蓮実四郎が連帯保証した事実は当事者間に争なく、成立に争のない甲第六号証、乙第十、十一号証、右甲第六号証により真正に成立したことを認め得る甲第五号証の一乃至四、原審証人狸塚栄の証言及び原審に於ける被控訴人等各本人尋問の結果を綜合するときは、前記代金の残額金七万円についてはこれを控訴人より被控訴人済藤幸良に対する貸金(仮払金)とし、同被控訴人より控訴人に木炭を納入することによりこれが決済をすることを約したことを認めることができる。然るに公証部分の成立に争なくその余の部分は成立に争のない乙第九、十一号証により真正に成立したことを認め得る乙第二号証、成立に争のない甲第六号証、乙第九乃至第十一号証、原審証人渡辺兵作、三森重、済藤カネ、狸塚栄の各証言及び原審に於ける被控訴人等各本人尋問の結果を綜合するときは、前記売買の目的物たる貨物自動車は控訴組合に於て組合員のために生産物資や肥料等を搬出し又は配達することに使用していたものであるが、中古となつたため、新車購入の際販売会社に下取りして貰うつもりでおつたところ、被控訴人済藤幸良が旧車を買受けたいとのことであつたので、前記の通りこれを同被控訴人に売渡したものであること及び当時自動車については価格が統制せられており、栃木県生活用品査定委員会に査定を申請したところ、金十万七千円と査定せられたことを認めることができる。控訴人は物価統制令第十一条の規定を援引して前記売買には同令の適用がないと主張するけれども、農業協同組合が組合員のために生産物資や肥料等を搬出し又は配達することは固よりその業務に属するところであるから、右搬出、配達等に必要な貨物自動車を購入することは本来の業務と密接不可分の関係に在り、従つて前認定のような事情の下に前記中古貨物自動車を売却することも亦同様の関係に在るものであつて、物価統制令第十一条但書にいわゆる「自己の業務に属する」ものと認めるのを相当とする。故に右売買が営利の目的を以てなされたか否かを論ずるまでもなく、該契約には同令の適用があり、前記代金中金十万七千円を超過する部分は無効たるを免れない。

(奥田 堀真 岸上)

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